新緑が眩しい季節になりました。
柔らかい光の中、空に向かって手を広げるようにまだ生まれたばかりの緑の葉が、
そよいでいます。
夏も近づく八十八夜～♪「茶摘み」の歌にもあるように八十八夜をすぎ、
５月５日(月)に暦は二十四節気の「立夏」を迎えました。
夏の始まり、過ごしやすい季節になりました。
こいのぼり🎏が悠々と泳いでいる映像や写真を見ると、爽やかな風が吹いているのを感じます。

今春『あんぱん』という連続ドラマが始まりました。
アンパンマンの生みの親である 「やなせたかし」さんと
奥さんの暢さんの一生を描くドラマが放送されています。
アンパンマンといえば、子どもたちに大人気のヒーローです。
アンパンマンの絵を描くと、泣いていた子どもがあっという間に、泣き止み笑顔になります。
保育士在職中、子どもたちに求められる度に
アンパンマンの似顔絵を描き、子どもたちと一緒に笑顔になったのを思い出します。
不思議な力がありました。
もちろんアンパンマンの主題歌”アンパンマンマーチ”も大人気でした。

♪
なんのために　うまれて　なにを　していきるのか
こたえられない　なんて　そんなのはいやだ
いまをいきることで　あつい　こころもえる
だから　きみはいくんだ　ほほえんで
そうだ　うれしいんだ　いきるよろこび
たとえ　むねのきずが　いたんでも
ああ　アンパンマン　やさしいきみは
いけ　みんなのゆめ　まもるため

なにがきみの　しあわせ　なにをしてよろこぶ
わからないままおわる　そんなのはいやだ
わすれないでゆめを　こぼさないでなみだ
だから　きみはとぶんだ　どこまでも
そうだ　おそれないで　みんなのために
あいと　ゆうきだけが　ともだちさ
ああ　アンパンマン　やさしいきみは
いけ　みんなのゆめ　まもるため

ときははやくすぎる　ひかるほしはきえる
だから　きみはいくんだ　ほほえんで
そうだ　うれしいんだ　いきるよろこび
たとえ　どんなてきが　あいてでも
ああ　アンパンマン　やさしいきみは
いけ　みんなのゆめ　まもるため
♪

少し長くなりましたが、全て載せてみました。
普通子どもたちに向けて書かれた歌は、分かりやすい表現を使われています。
アンパンマンの歌はメロディーこそ子どもが親しみやすいものですが、
歌詞は、ご覧のように結構難しいものとなっていて、
当時、不思議に思っていました。

先日連続テレビ小説の『あんぱん』を観ていると、
やなせさんの伯父さん役の竹野内豊さんのセリフを聞いて
突然この歌が耳元で蘇ってきて、驚きました。

それは、土佐弁のこんなセリフでした。

『人は何の為に生まれて、何の為に生きるのがか？
　こじゃんと人を喜ばせる為や』
『何がおまんらの幸せで、何をして喜ぶがか？』

この言葉を聞いて、突然脳内スピーカーで、
♪アンパンマンマーチが鳴り始めたのです。

アンパンマンの歌の中、ここにもやなせさんの子どもたちへの思いが溢れているんですね。
やなせさんは、子ども向けだからといって内容のレベルを下げることはされなかったそうです。
大人というのは、「子どものなれの果て」であり、
本質的に大人と子どもは変わらないと考えておられました。
だから、敬意をもって子どもに
「なんのために生まれて　なにをして生きるのか」と問い、
その場で意味が分からなくてもよい、
子どもの心に深く染み込んでいくものだからこそ、
子ども向けに書く大人の責任は重大なのだと。
語られていたそうです。

子どもに関わる大人として、どう関わっていくのか？
子どもの心の中にアンパンマンのような存在を育むことができているか？
保育者として過ごしてきた私にも問われているような気がしましたが、
別の視点から見ると
子どもだけではなく、「子どものなれの果て」である大人自身に対しても
問われているのではないかと思いました。

私（あなた）の心の中にアンパンマンはいますか？
私（あなた）の心のアンパンマンは、夢を守ってくれていますか？
私（あなた）は、今を思い切り生きていますか？
私（あなた）は夢と希望を忘れず、誰かのために愛と勇気で接していますか？

とも置き換わると考えられるならば、
心の中のアンパンマンは、
私たちの最大の味方であり、理解者である
内面の私（もう一人の私）自身
のことではないでしょうか？

時折色んな媒体を通して、自分自身に問いかけられることがあるなぁと思います。
私にとっても、そんなタイミングだったのかもしれません。
私たちは、忙しい毎日を送っていると
自分のことよりも周囲のことで手一杯になってしまい、
自分のことはおざなりになってしまいがちです。
ゴールデンウィークが明けて、また忙しい日常が戻ってきているのではないでしょうか。
そんな時、こう問いかけてみてください。


あなたの心の中にいる
アンパンマンは今どんな顔をしていますか？