先日私は、
北原白秋作詞 山田耕筰作曲の「からたちの花」の楽譜を編曲するために
パソコンの中に取りこむ作業をしていました。
6番まで歌詞があるけど、
短いしシンプルな歌だから、
すぐに作業は終えられるだろうと思っていました。
ところがどっこい…作業を始めると
2拍子と3拍子が、交互に次々と入れ替わっていくのと
同じメロディーのフレーズを一度も繰り返さないことに、
頭が混乱して同じ箇所を打ち込んだり、
一部を飛ばしてしまったり…
何度もやり直しすることになり、想像以上の時間を費やしました。
”童謡”なのに、こんなに”動揺”する私は何なんだ!と
一人思わず声をあげてしまいました。
でもその疑問は、
そのメロディーの音符一つ一つに
歌詞を当てはめていった時、
一瞬にして霧が晴れていくように消えていき納得しました。
この歌詞は、小学校5年生の国語で学習されるように、
子どもにもよく分かる内容です。
この歌詞から受け取られる感情を大事に大事に、
音を一音一音育んでいくように、
作曲されているように感じました。
詩人北原白秋は、親友の作曲家山田耕筰にこの詩を贈りました。
その親友の心に応えるように作曲されたものだと
思うととても心が温かくなりました。
この音楽の世界で、二人の芸術家が
美しい言葉を渡し、美しい音楽で応えている
こころの交流が描かれているように思いました。
そして、歌詞と曲が一つになって、
美しい曲の景色が描かれていることに感動しました。
子どもでも分かるようなシンプルな曲、
だけど深い情感を伴い心を揺さぶるような温かさを。
1928年に発表されたこの曲は、
ほぼ100年私たちが大事につないできた曲で、
どれだけ心にしみる魅力を持っていたのかを
教えてくれているように思います。
私もこの世界に浸って、
やさしさに溢れたこの曲の景色を私なりに描いてみたいと思いました。
話は変わりますが、
先日ある生徒さんのレッスンの時のことでした。
弾かれているのを聴いていると、
曲の流れにうまく乗れない、
体がついていかないもどかしい気持ちを感じました。
お話を伺うと、
全ての音符を楽譜通りにきちんと弾くことに頭がいっぱいで、
音がつながっていかない、
曲の流れにうまく乗れないようでした。
曲の中にある流れ方に目を向けられると、
体でその流れをつかんで弾けるようになっていきます。
すると「楽しい」「面白い」と声が出るようになりました。
生徒さんは、弾いていた曲の世界に入っていって、
音楽と一つになる楽しさを味わう経験をしたんだと思います。
お話させていただいたこの二つは、
全く違った音楽の話ですが、
一つ共通点があると感じています。
私たちが、音楽を聴いたり、弾いたり、歌ったりする時に、
同じような感覚を持っているのではないかと思うのです。
「この音楽の世界に浸って、一つになりたい。」
そこには心地よさや楽しさ、嬉しさ、穏やかさ、ホッとするという
まるでお日さまの光のようなものが
燦々と私たちに降り注いでいるような世界なのではないかと思うのです。
私たちは、日常的に音楽を聴いたり、
なにかの曲を歌ったり、楽器を弾いたりします。
ただ音楽が好きだからするのではなく、
無意識のうちに、その音楽が生み出す世界に浸りたいと願っている。
そんな思いが、
私たちの心のどこかにあるのかもしれません。
🌿音楽と向き合う時間については、こちらの記事でもお話ししています。
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